日本小動物獣医師会
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2006年年次学会



 狂犬病 あなたや家族やペットがかからないために(2006.12)
人獣共通感染症委員会

 先日11月16日に、36年ぶりに日本国内での狂犬病患者の発生が報道されました。次いで1週間後に更に1例の患者の発生が見られました。双方ともフィリピン旅行中にイヌの咬傷から感染したもので、危機管理が徹底されていなかったため、暴露後免疫を受けることなく、帰国後発症したものです。

 狂犬病は、一旦発症すると100%死に至る病気で、これは人も犬も、すべての哺乳類に共通した病気です。この恐怖の病気にあなたや家族やペットがかからないためにはどうしたらいいのでしょう。

 人の場合、今回もそうだったように、輸入狂犬病(海外で感染し国内で発症するケース)の可能性が一番考えられます。狂犬病は一部の国と地域を除いて、世界中で発生が見られる病気です。日本を取り巻くアジアの国々は台湾シンガポールを除いて濃染地域が多く存在します。こういった国々に旅行した場合、以下のことを守れば、感染や発症を防げます。

1 国にもよりますが、基本的にワクチン接種をしてから出発する。ただし、本来のワクチン接種は、7ヶ月前から開始しなければなりません。
2 旅先で、むやみに動物に手を出さない。
3 もし咬まれたら、石鹸流水で傷を洗い、すぐに暴露後免疫を受ける。
4 海外から、正式な検疫を受けずに、動物を持ち込まない。これは飼っている動物でもその危険性はあるということを覚えておいてください。狂犬病の80%は自分で飼っていたり世話をしている動物からの感染です。
5 臓器移植によっても感染している事例があります。海外で受ける場合は常にこのリスクはあると思ってください。

イヌの場合、渡航や輸入による場合と、国内のみで飼育している場合に分けられます。

1 海外から輸入する場合や、渡航する場合は、現在の検疫制度に則っている以上、まず感染の可能性はありません。
2 国内飼育の場合、現在発生はありませんが、仮に国内での動物発生が見られた場合、蔓延防止には、すべての犬の70%以上の免疫確保が必要となります。積極的な、飼い犬の予防接種により感染を広げないことが、あなたのペットの感染を防止する唯一の方法です。なぜならば、イヌやネコには、暴露後免疫は効果がないからです。

 確かに発症すれば助からない恐ろしい疾病ですが、ワクチンという予防手段により、発症をみないでコントロールできる疾病です。問題なのは、その知識と、危機管理が出来るか否かなのです。

  現在、日本国内の狂犬病予防接種率は著しく低下しています。検疫法の改正により、狂犬病の侵入は難しくなっているようですが、密輸や、貨物船などの寄港中の不法上陸など、侵入門戸は決して無くなっているわけではありません。狂犬病予防注射はイヌの命を守るためだけではなく、私達社会を守るためでもあります。
(暴露後免疫:咬まれて後、数回のワクチン接種を受けることで発症を抑制する。)