子供の肥満の増加に比例して、生活習慣病やメタボの予備軍も増えています

メタボリックシンドロームといえば肥満とか腹囲増大などが連想されると思います。少し詳しく言えば内臓脂肪型肥満に、高血圧・脂質異常(高脂血症)・耐糖能異常(糖尿病)などの生活習慣病と密接に関係した病態が2つ以上合併している状態を言い、動脈硬化性の脳血管障害(脳梗塞、心筋梗塞等)を起こす危険性が高くなります。

メタボリックシンドロームは成人に限定された病気と思われがちですが、子供にも存在します。いずれにせよ肥満(内臓脂肪型)が背景にあります。小児の肥満の指標として標準体重を基準にした肥満度がよく使われますが、近年は内臓脂肪型肥満の小児の指標として、ウエスト身長比が注目されています。

ウエスト身長比とは臍周囲のウエスト周囲径÷身長の値で、0.5以上を子供のメタボリックシンドロームの内臓脂肪型肥満の診断基準としています。子供で臍周囲のウエスト周囲径測定はまだ一般的ではありませんが家庭でも簡単に測定できますので一度計算してみて下さい。

ある新聞に「生活習慣病、高校生の4割予備軍」という見出しの記事が掲載されました。小学校高学年は入学時に比べ肥満児の生徒数が2倍にまで増加するという報告もあります。子供の肥満は確実に増加しており、それに伴って生活習慣病の予備軍、メタボリックシンドローム予備軍が増え、成人期まで持ち越してメタボリックシンドロームになると言った構図ができあがっています。一方で子供の肥満は成人にまで解消できればこの構図は断ち切ることができます。

したがって、子供の肥満児対策が大変重要になってきます。しかし肥満の子供の大多数は全く自覚症状がなく見かけは元気なため、対策をとることはいうほど簡単ではありません。肥りやすい体質があるのも事実です。したがって肥満児に対する対策ももちろん大切ですが、子供が肥満にならないような日頃から食事・運動を中心とした生活習慣の見直しを行うことが大切です。

食事は栄養バランスを考え、ファストフード、スナック菓子の様な高カロリー、高脂肪食はひかえましょう。朝、昼、夕と3食をよく噛んで時間をかけて食べましょう。早食いは食べ過ぎの原因になります。可能な限り、子供たちだけでご飯を食べることをさけ、家族で楽しくとりましょう。適度な運動も重要です。室内に閉じこもってばかりではストレスもたまります。戸外でできる自分にあった長続きする運動を見つけましょう。