巻き爪(陥入爪)を予防するためには、深爪は避け適正な靴を選ぶ

爪の側縁が皮膚に食い込んで強い痛みをきたす「陥入爪」は足の親指に好発します。細菌感染を起こすとさらに痛みが増して膿が出たり爪の横に赤い肉芽が生じたりします。巻き爪は陥入爪がさらに進行して筒状に丸くなった爪が「の」の字形に爪の下の組織を巻き込むような変形を生じる状態をいいます。

原因の多くは、爪を深く切ってしまう、いわゆる“深爪”の習慣が最も多く、次いで長時間の歩行やスポーツ、脚にフィットしていない靴を長年着用するなどがあげられます。

患者さんは痛みの原因である爪を深く切って痛みを和らげようと試みますが、この行為自体が爪の端にトゲを作ることになり、さらに刺激の原因となって悪循環を招くのです。

代表的な治療法としては超弾性ワイヤーを使った爪矯正、形状記憶合金プレートを用いた人工爪を装着した矯正、そして手術療法があります。前二者は爪に穴を開けたり、金属製の板をあてたりして爪が巻いている方とは反対に持続的に力をかけることにより爪の平坦化をはかるものですが、数ヵ月に1回のワイヤーやプレートの交換が必要であるため、治療に時間がかかってしまう上に保険がきかないのが難点です。

手術による根治的治療は「爪母爪床切除術」と呼ばれ、陥入した爪とその付け根の組織を広く切除します。手術は局所麻酔で20分程度で終了し、切除後はフェノールという薬品やレーザー、電気メスなどで爪のもととなる細胞に焼灼を加えたりして再発を防ぐ工夫をします。手術療法は爪矯正と比較して短期間でその効果を得られますが、術後は爪の幅が若干細くなってしまうことを留意する必要があります。

巻き爪(陥入爪)の予防は第一に“深爪”しないこと、爪はやや長めに左右の端は四角く切る習慣づけが大切です。また、ハイヒールやパンプスなどの先端の窮屈な靴を長時間履くことも避けましょう。

また、爪の変形の原因が爪白癬によるものと判別が難しい場合もありますので、気になる症状のある方は早めに整形外科や皮膚科を受診して相談されることをお勧めします。